2002年11月1日Tony Bonyata によるインタビュー

2002年11月1日 Tony Bonyata によるインタビュー
concertlivewire.com より引用

Q:ウィスコンシン州マディソンでのショウを昨晩見ましたが、あなたのニュー・バンドはもうサイコーですね!彼らとはどれぐらい演奏しているのですか?

Johnny(以下J):1ヶ月ほどだよ。

Q:ほんとですか?

J:ああ,そんなに長くは一緒にやってない。俺たちはハープ・プレイヤーを探していて,ジェイムズは見つけることができた中のベストだったんだ。

Q:ええ、ぴったりのハープ・プレイヤーを見つけたことは間違いないですね。

J:ああ、ジェイムズと演奏するのは好きだ。

Q:あなたのリズム・セクション(スプレイとジューン)もすっごくタイトですね。

J:ああ,奴らとはジェイムズよりも少し長く演奏して来たんだ。3ヶ月ほどやっている。

Q:またロードに出ることにした理由は何ですか?

J:ああ、ロードで演奏するのは好きだから。本当に好きなんだ。

Q:これまでのところツアーに対する反応はどうですか?

J:ロードに出ているのはまだ2週間だけど、だんだん良くなっている。全ツアーで3週間半だけだけど。中西部と北東部に行く予定だ。

Q:オーディエンスの前で演奏するのとスタジオでレコーディングするのと、どっちの方が夢中になれますか

J:どっちも好きさ。でもオーディエンスのために演奏するのが一番好きだと思うな。

Q:昨晩はアンコールの"Mojo Boogie"まで待ってギブソン・ファイアバードを引き出し、すばらしいスライド・プレイへとなだれ込みましたね。
誰の目にも明らかにハイライトだったと思います。コンサートでもっとスライドを演奏したらいかがですか?

J:スライドの演奏にちょっと飽きてきたかなという気もするけど、"Highway 61"をセットに加えて近いうちにプレイしようと考えているんだ。そうすればスライドで2曲ということになる。

Q:レコードではナショナル・スチール・ギターでの美しい演奏が楽しめますね。ライヴで演奏するときも2曲ほど引っ張り出してみてはいかがですか?

J:観客を前にすると自分で音が聴こえないよ。

Q:ということは何よりもまず音響上の問題なのですね。

J:そういうことだな。

Q:観客が妨げになっているとすれば、ちょっと残念ですね。ところで、1年ほど前に腰を痛めたと聞いています。まだ何か問題がありますか?

J:ああ、1ブロックほど歩くと腰が疲れてくるのさ。だから座って演奏してるんだ。

Q:それは進行中の問題、つまりまだ治療中なのですか?

J:ああ、まだ治療中で回復のためにいくつかエクササイズをやっているよ。

Q:だからこのツアーでのショウではずっと座っているというわけですね。

J:ああ。歩いたり長いあいだ立っているのでなければ痛みは全然ないけどね。

Q:手首にも何か気になる問題があると聞いていますが?

J:ああ、ショウをしにイングランドへ行って飛行機から降りたら名前を書くことも手を上げることもできなくなってたんだ。

Q:それはギタリストにとってはいいことではないですね。

J:うん、(笑)かなり悪いことだよ。飛行機の中での眠り方に問題があったんだ。医者は6ヶ月以内に良くならなかったら手術が必要だといった。でも幸い6週間三角巾で吊っていたら良くなった。

Q:再発はまったくないのですか?

J:ああ、一度きりさ。

Q:昨晩のマディソンで私の知らない曲が2、3披露されましたね。新曲ですか?

J:ああ、いま製作中の新作CDからの曲だ。そのうちのひとつが"Lone Wolf"さ。

Q:そうですか、あれはかなりロックしてましたね。

J:そうかい、いい曲だろう。トム・ハムブリッジが書いたんだ。彼はレコードの一部をプロデュースもしている。

Q:新作についてもうちょっとお聞きしていいですか?完成したんですか?

J:まだ完成していない。目下のところ5トラックが仕上がった。

Q:どのようなサウンドになるんですか?

J:ああ、レギュラーなブルースで、皆が気に入ってくれることを願っているよ。特に変わったことは何もないよ。グッドなブルースのレコードさ。

Q:全曲カヴァーなのですか、それとも自作の曲も含まれるんですか?

J:ほとんどがカヴァーだが、トム・ハムブリッジが3曲を書いてプロデュースもしている。だから彼の作品を更にやるつもりでいるよ。

Q:それ以外のやるかもしれないカヴァー曲をいくつか明かすことはできませんか?

J:"Sugarcoated Love"をやるよ。昨晩やった曲のひとつなんだ。

Q:アルバムにはジェイムズ、スコットそしてウェインが参加するんですか?

J:そうだよ。ジェイムズとはまだ何もカットしていないけど、ジェイムズも参加するだろう。

Q:すでに録音したトラックで他のハープ・プレイヤーを使いましたか?

J:いや、他の作品ではハープ・プレイヤーはいないよ。

Q:仮のリリース予定日とかありますか?

J:いや、確実なことは何もないが、来年の春までには出ると思うよ。

Q:発売に続けてツアーも行われると思ってますけど。

J:ああ、間違いないさ。

Q:あなたは世界中にファンを得て、グラミー賞を獲得し、そしてロックン・ロールとブルース双方の偉大なアーチストたちと共演しました。これまでで最も偉大な業績は何だと思いますか?

J:ああ、ベストはマディと共演したことだな。

Q:"Hard Again"のアルバムと…

J:そうだ、実に楽しかった。"Hard Again"はマディと最初にやったヤツだった。

Q:ミュージシャンとしてではなく一人の人間としてマディ・ウォーターズはどんな人だったんですか?

J:ああ、彼は親しみやすい人だった。彼は実に自分が何をしたいのか正確に知っていて、俺と仕事するのが好きだった。俺はレコードが昔みたいな音がするようにやってみた。その頃までにマディが作ってきたレコードは彼が過去に作ったレコードほどは良くないと思っていたんだ。そこでレコードをかつてそうだったようなサウンドにしようとしたわけさ。

Q:あなたが言っているのは50年代のチェス・レコードの彼の作品のことですか?

J:そうだよ。

Q:あなたは間違いなく彼のクラシック・サウンドを取り戻すのに成功しましたね。そして60年代後半の"Electric Mud"のような後期の作品について正しい見方をしていますね。

J:うん、あれは大したことない。

Q:マディとの仕事の他に、最も誇りにしているあなた自身のレコーディングは何ですか?

J:"The Progressive Blues Experiment"、"Johnny Winter"…そして"Still Alive and Well"は最も好きなロック・レコードだ。

Q:"Still Alive and Well"や"Saints And Sinners"のような、70年代の比較的ロック的なアルバムについてはどうですか?

J:ブルースをやっているヤツ(他の作品)ほどには好きでないな。俺はロックン・ロールよりブルースが好きなんだ。

Q:最初に影響を受けたブルースマンは誰ですか?

J:リトル・ウォルター、ボビー・ブランド、レイ・チャールズ。実際は見つけることができたすべてのブルースのレコードを買ったんだ。だから一人だけをコピーしようとしたことはないよ。見つけうる限りのあらゆるレコードを買ったんだ。

Q:ロック畑であなたをその方向に導いたのは誰ですか?

J:60年代後半になるとブルースはあまりにビッグになってしまって、ちょっとマンネリ化してしまったし、人々も以前ほどブルースに関心を示さなくなった。誰もが俺に違ったことをやるべきだと言うようになり、俺もブルースにちょっと変化をつける必要があることにある程度同意したんだ。俺は今でもロックン・ロールが好きさ。ロックン・ロールをやるのは楽しかったけど、それをやるとストレートなブルースを演奏できなかったんだ。

Q:ところでストレートなブルースに回帰したのはいつだったのですか?

J:マディと仕事を始めた時さ。それでブルースをやっていけると確信したんだ。

Q:ブルースへの回帰アルバム"Nothin’ But The Blues"をマディとの最初のレコードと同じ年にリリースしましたね?

J:ああ、俺はちょうどブルースの演奏に戻ろうとしていたんだ。

Q:そしてそれ以来、振り返ることは決してなかったわけですね?

J:全然ね(笑)

Q:私があなたを最初に見たのは77年のミネアポリスに遡るんですが、弟のエドガーと演奏していました。まだ彼とは会っているんですか?

J:ああ、でも自分が希望しているほどしばしばじゃないな。弟はウェスト・コーストにいて俺はイースト・コーストにいる。たまに出くわして一緒にショウをやるだろう。

Q:ということはまだ一緒に演奏を?

J:ああ。

Q:どんなタイプの作品を演奏するんですか?あなたがブルースを演奏し、エドガーは自分の好きなものをやるとかして作品を交換するんですか?

J:弟は俺がして欲しいと思うことを十分やってくれるさ(笑)。エドガーと一緒にやりたいな。弟は一緒に演奏してて楽しい。

Q:そのときは兄貴がまだ仕切るんですか?

J:そうだよ(笑)。

Q:自伝を計画中という話を読みました.もう取り掛かっているのですか?

J:実はまだだけど,できることを希望している。ネタを集めて編集できる人を探しているところだ。

Q:私たちがまだ知らないようなことが明らかにされるのでしょうか?

J:分らないな。それが俺がこれまで本を書いたことがなかった理由のひとつだ。のめりこんだことでもかなりきれいに忘れてしまうのが常だね。自伝を出すに足りるような新しいネタを見つけ出せるかどうか分からないな。

Q:過去にはハード・ドラッグや酒に溺れていたことで知られていましたね。今では手を切っているんです?

J:ああ、もう20年間ヘロインを断っている。もっとも演奏前と演奏が終わった後には飲むけどね。

Q:マディとレコーディングしていたときはまだヘロインにのめりこんでいたのですか?

J:いや、マディと一緒のときはヘロインは全然やっていない。

Q:完全に断つことができたとすれば、何か変わったことがありますか?

J:ああ、もうヘロインはやらないよ(笑)。俺が変わったのはそれだけさ。

Q:今生きているブルースマンで最も才能があるのは誰だと思いますか?

J:たぶんB.B.キングだろう。

Q:ここ数年で大物ブルースマンをたくさん失ってますね。

J:まったくその通りだ。ベストアーチストたちはもうこの世にいない。

Q:この30年ぐらいの間にたいていの大物ブルースマンと演奏してきましたね。一緒に演奏したいと思っていてまだ実現していない人がいますか?

J:リトル・ウォルターとは一緒に演奏したかったな。Tボーン・ウォーカーも。Tボーンはほとんどのすべてのギター・プレイヤーに大きな影響を与えたんだ。

Q:B.B.にも大きな影響を?

J:ああ、そうだよ。

Q:ロック畑でもたくさんに偉大なミュージシャンたちと演奏しましたね。ジミ・ヘンドリクスと60年代に演奏しましよね?

J:ああ、やったさ。

Q:どんな感じでしたか?スタジオ・セッションですか、それともライヴ・ショウで?

J:’Things I Used To Do’という曲をスタジオでやった。彼とはもっと録音したかったな。でもあれはいい出来だったよ。

Q:リリースされているんですか?

J:ああ、リリースされている。収録されているレコードの名前は覚えていないけど。"Woke Up This Morning and Found Myself Dead"(小さなクラブでのジミ・ヘンドリクスとジム・モリソンの共演を収めた海賊盤)という名のレコードがあって、俺の演奏も収録されているって噂されたけど、間違いだ。ジム・モリソンが収録されているが、会ったことはない。

Q:自分の耳で聴いたことがありますが、モリソンはぐでんぐでんに酔っ払っていたようですね。

J:ああ、確かにね。いいこっちゃないな。

Q:で、モリソンとは演奏したことないんですね。

J:演奏したことないよ。彼はしこたま飲んでいたようだから、大した損失だとは思わないな。

Q:ブルースに長期的な未来があると思いますか?

J:ああ、ずっと続くと思うよ。いまでも沢山の人が輩出している。デレク・トラックスはマジでイイ新人だ。若いヤツでね。ブルースは永遠に不滅だと思うよ。皆ブルースを必要としているんだ(笑)。常に新人が登場して若いヤツにブルースへの興味をもたせるだろう。

Q:ケニー・ウェイン・シェパードやジョニー・ラングのような比較的最近シーンに現れた若手ブルースマンの流れについてはどう思われますか?

J:彼らはいいよ。

Q:60年代前半にストーンズやヤードバーズがやったように、最近ではホワイト・ストライプがブラインド・ウィリ・マクテルやロバート・ジョンソンをカヴァーしたように、ロック・バンドが古いブールス作品を再び採り上げれば、ブルースに対する関心をつねに喚起することになると思います。

J:ああ、その通りだね。

訳:東淀川スリム氏